【模造刀特集】日本刀・模造刀の種類や作り方について
鎌倉・室町・戦国・幕末、とそれぞれの時代を駆け抜けた武士たちの傍にあった魂。それが日本刀です。当時最先端の金属技術、鍛刀技術などの粋を集めて作り上げられた刀身と拵えは、時間を経た現在においても日本の美意識を反映した世界に誇る芸術品です。
1.模造刀の値段・相場ってどのくらい?
模造刀は素材や仕上がりによって相場が異なります。模造刀のタイプ・ランクは大きく分けて4種類に分類されますので、具体的な種類を解説していきます。
(1)プラスチック製の模造刀
【価格】4,000~8000円
最も安価なものは「プラスチック製」のもので、値段は4,000円〜8,000円と安いのが特徴です。観光地のおみやげショップなどでよく販売されています。模造刀としての再現性はそれほど高くありませんが、ちょっとした舞台や、イベント時の仮装や衣装グッズとして利用されています。
(2)合金、天然木、本鮫地などを使用した模造刀
【価格】12,000~22,000円
合金、天然木、本鮫地を使用した高級な観賞用の模造刀は、12,000〜22,000円程度の値段で販売されています。刃身には天然木が使われ、表面にメッキが塗られているため模造刀としての再現性は高く、観賞用としては遜色ない仕上がりになっています。ただし強度や重量が考慮されていないため実際の刀のように振り回すことはできず、あくまでも観賞用となっています。
歴史プラスで天然木、本鮫地を使用した模造刀を探してみる
(3)素振り・居合練習用の模造刀
【価格】22,000~33,000円
素振りや居合いの練習用に用いられる模造刀は、重量バランスや耐久性を考慮されており、値段も22,000〜30,000円と比較的高額です。合金、天然木、本鮫地を使用したうえで、実際の日本刀に近い強度・重量バランスが再現されているため、剣道などの素振りや居合練習にも使用されています。
(4)真剣に近い素材・部品を用いた模造刀
【価格】100,000~200,000円
最も高価な模造刀は、真剣に近い素材や部品を使った模造刀です。この模造刀は、素材や部品選び、仕上がりまで職人の手によって行われるため、値段も100,000円〜200,0000円と高額です。特に刀身部分は職人が刀に焼きを付けて仕上げ、刃紋に至るまで職人の手によって描かれています。
2.模造刀を買取りしてもらうには?
模造刀は、日本刀を模して鑑賞や練習のために造られた「玩具」の扱いになります。そのため「刀」として買い取ってもらうことは出来ません。もし売りたい場合には、オークションへの出品もしくは近くのリサイクルショップに持ち込むのがよいでしょう。
3.模造刀の種類
日本刀は、時代によって形や大きさ、フォルムが変化してきました。時代による刀の変化とともに、模造刀の種類について解説いたします。
(1)古墳時代〜奈良時代
まず、古墳時代から奈良時代には「直刀」が最もよく利用されていました。直刀には日本刀特有の反りがほとんどなく、平造りや元切刃造りとなっています。次いで平安時代後期から奈良時代初期までには、「太刀」が最もよく使われました。太刀の特徴は反りが強く、刃長も80cm近くあるため、実際に身につける時には腰に吊るして運ばれました。
(2)室町時代〜江戸時代
次室町時代中期から江戸時代末期には「刀」が最も使われました。刀の特徴は反りが適度に抑えられていることで、刃長も60cm程度になったことで腰に挿して移動できるようになりました。また室町時代には、刀を腰に差す文化が生まれたことによって「脇差し」「短刀」といった様々な形の刀が登場しました。「脇差し」は刀身が「刀」と同様に適度に反りをもち、刃長が「刀」の半分程度(30cm)のものを指します。
(3)桃山・江戸時代〜幕末
江戸時代には、徳川家康によって乱世の世が統一されたことで、刀はその実用的な目的を失い、「武士の象徴」として所有されるようになりました。従って日本刀は、「質実剛健な刀」から「豪華絢爛な刀」へと変化していきました。
(4)その他
「短刀」は、刀身が直刀と同様で、脇差しよりさらに短かく(約20cm)鍔のない刀を指します。自決や護身、庶民の武器、仕込み刀など幅広い用途に用いられました。
また「白鞘」は無加工の木材の白木で作られた鞘のことです。休め鞘とも呼ばれ、戦の後に研磨し次の戦に備えて刀身を保存するために用いられた鞘です。
白木は加工を施していないため、湿度を吸収しやすい性質を持ち、刀身を湿気から守ってくれます。しかし定期的には手入れが必要であり、手入れを怠ると刀身は錆びてしまいます。万一錆びてしまった場合でも、白鞘は、接着部分が簡易的になっているため、刀身を傷つけることなく取り出すことができます。
材料は朴の木(ホオノキ)を使うことが主流となっています。木は季節によって伸び縮みするので少なくとも10年以上寝かせる必要があります。また、急激に乾燥させてしまうと、後に湿気でサイズが変わってしまうので自然乾燥させることが必要です。
4.模造刀の手入れ・アフターケアはどうするの?
まず模造刀は、素材がメッキや合金で作られていることが多いため、基本的に錆びることはありませんが、湿気や水漏れによって劣化する恐れがあります。そのため濡れた場合は乾いた柔らかい布で拭くなどの手入れが必要です。また、刃の輝きを保つために刃身にエタノールや椿油、丁字油(ちょうじゆ)を塗布することでより長持ちさせることができます。
5.歴史上名高い名刀の模造刀
歴史上名高い名刀の多くは模造刀として販売されています。ここでは歴史上名高く、模造刀が多く作られている「同田貫」と「一期一振」について詳しく紹介します。
(1)同田貫
肥後で起こった刀工集団である「同田貫」は、数々の名刀を世に残しました。同田貫は、永禄時代に肥後菊池で生まれ、肥後熊本を領する加藤清正のお抱え刀工でした。清正が豪壮で実践的な刀を好んだため、同田貫の作品は全体的に装飾が少なく、質素な作りをしています。
(2)一期一振
豊臣秀吉の愛用した「一期一振」は模造刀としても今なお人気の高さを誇っています。「一期一振」とは正宗と並ぶ名工と称される栗田口吉光によって造られ、彼にとって唯一の太刀となっています。彼は一期一振以外にも数百の刀を作りましたが、それらは全て短刀だったとされています。 戦国時代に朝倉氏が所有していましたが、朝倉氏滅亡によって毛利輝元によって豊臣秀吉に献上されました。しかし、その後大阪城落城により一期一振も焼身。この時、相手側だった徳川家の越前康継によって打ち直しが施され、徳川家に引き継がれました。
歴史プラスで「一期一振の模造刀」を探してみる
6.模造刀の作り方
木製の模造刀には憧れますが、木製の模造刀は高価でなかなか手に入りません。そこで安い模造刀を購入して手作りで木製の模造刀を作る方法をご紹介します。手作りの模造刀なら気に入ること間違いなしです。
◆自分でもできる模造刀の作り方
○用意するもの:電動のこぎり、紙やすり、のこやすり、鉛筆、電動ドライバー、木製板(厚さ6mm)、ニス、アルミテープ
手順1:刃身が金属製の模造刀を用意します。
手順2:刃身を抜き、鍔、切羽、はばきを順に外します。
手順3:刃身を木製板に合わせて鉛筆でなぞり、板を切り抜きます。
手順4:カットした部分をヤスリで整えます。
手順5:切り抜いた木製板をのこやすり→電動ヤスリ→紙やすりの順で削り、形を整えていきます。
手順6:ある程度形が整ったら、仕上げにニスを塗ります。
手順7:ニスが乾いたら木製の刃身の部分にアルミテープを貼ります。余った部分は切ります。
手順8:最初に外した部品をもとに戻して完成です。
手順9:仕上げにクロスで刃身部分を磨くとさらに艶が出ます。
7.模造刀の所持は違反に当たるのか
模造刀を所持していることに関しては法律上なんの問題もありません。 しかし、正当な理由がない限り模造刀を持ち歩くことは法律に抵触する可能性があります。正当な理由とは店から買って持ち帰ることや売りに行くことであり、繁華街などで護身用のためなどというのは正当な理由に当たりません。そのため、持ち歩く際には袋やバックに入れるなどすぐに抜刀出来ないようにしておく必要があります。軽犯罪法の第1条には「正当な理由がなく刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えることに使用されるような器具を隠して携行いていたもの」には勾留又は科料に処するとされています。(科料とは1000円以上、1万円以下の罰金のことです)
8.まとめ
いかがだったでしょうか。 模造刀には「プラスチック製の仮装用」「合金・天然木・本鮫地などを使った観賞用」「重量バランスを考慮した居合練習用」「職人が仕上げた美術工芸品」と大きく分けて4つの種類があり、個人の目的やご予算に合わせて選ぶことが出来ます。
模造刀は時代とともに形や大きさが変化しており、古墳〜奈良時代の「直刀」や「太刀」、室町〜江戸時代の「刀」「脇差し」「短刀」、江戸〜幕末時代の「新刀」といった変遷を歩んでいます。日本刀の歴史上名高い刀工としては肥後で起こった「同田貫」、名刀としては豊臣秀吉が愛用した「一期一振」があり、模造刀として今なお高い人気を誇っています。
木製の模造刀は高価なため手に入りにくいですが、安い模造刀を使って手作りで作りことができるのでぜひ一度お試しください。
また、模造刀の買い取りを検討する場合は、お近くのリサイクルショップやオークションで販売するのがおすすめです。大切な模造刀を長持ちさせるためにもこまめにエタノールや椿油を刀身に塗布するなどお手入れをおこならないようにしましょう。
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